キミみたいなのが
知り合いなワケ
ないよな、ってッ!!!


駅員さんが
私の答えを待たずして

失礼極まりない結論を
出してしまって
いますけどッ。


「ウチの鉄道会社の
重役クラスって
みんな
あの学校を出てるから

高卒で入った俺なんか
どうもあの制服を見てると
卑屈になるよ」


「……」

溜息混じりのそのセリフに

私は初めて
駅員さんの顔をまともに見た。


…よく見ると

頬にニキビが残ってて

ハスキーな声のワリに
意外に若そうだ。


「ほら!
しっかり自分で歩いて!」

「あ、はいッ」

ってッ。


駅員さんのペースに
すっかり巻き込まれて

私は
このまま別室行きにされても
いいモノなのでしょうかッ。


「…セ…ッ」

再び振り向いたときには
そこにセイの姿はなくッ。

もしもしもしッ!?


私を置いて
アナタはどこへ
お隠れになったのですッ!?


「あのッ
ちょっと”連れ”と
はぐれてしまったみたい
なんですがッ」

私は靴のカカトで
ブレーキを掛けるッ。


「”連れ”?
漫才コンビの?」

違いますッ!!!!!


…いったい私の何を見て

そのアタマの中から
そ〜ゆ〜発想が
はじき出されてくるのかッ。


「ハッ!」

…もしかしてッ。


今朝整えたハズの眉毛が
おマヌケに伸びてきて

アタマが悪そうに
見えてるとかッ。


私は思わず
両手で眉毛を隠してッ。


そんな私の挙動に

「…やっぱりね。
共犯がいたんだ?」

なんてッ

駅員さんが
さらに自分の想像に
確信を持ったッッ。