「違いますッ!!
この駅まで
いっしょに電車に
乗ってきたからッ」
アリバイを
証言してくれるハズだと
懸命に主張してみるモノのッ。
「共犯者のアリバイは
信用できないな」
「…共犯者なんかじゃ
ありませんしッ」
私が犯人でもありませんッ。
「…じゃあ、これは
キミがひとりでコピーして
バラ巻いたって言うのかい?」
「……」
…思い込みが
激し過ぎると言おうかッ。
ひとつの結論を
出してしまうと
それ以外の結論を
認めようとしない
その頑なさは何なのかッ。
「キミの高校って
チームプレイが得意だからな」
こういう”おふざけ”も
どうせ部活の
罰ゲームかなんかで
キミひとりに
罪を押しつけてみんなして
逃げたんだろう、って
コートの隙間から覗く
セーターに刺繍された
校章に目をやりながら
私の顔写真入りのコピー紙が
詰め込まれたゴミ袋を
駅員さんがワサワサと
鳴らしてみせるッ。
…ただ単に
先入観に囚われやすいヒト
なのかッ。
だけどッ
こんな風に
制服で判断なんてされたら
堪ったモンじゃないッ。
「…あのですねッ」
「いいよ、いいよ。
わかってるから。
そ〜ゆ〜学校なんだからさ」
まだ言うかッ。
…高卒だって言ってたけど
自分だって
その辺の普通の学校
出てるんでしょうがッ。
ううんッ!
こうだと思ったら
他の選択肢はあり得ないって
この思い込みの強さは
相当なおバカ学校の
出身者だと見たッ。
きっと最低最悪の
自分の名前さえ書ければ
受かるような高校の…。
「だって僕
キミの学校の卒業生だからね」
え。