笑ってるんだか
怒ってるんだか
駅員さんってば
とっても解りにくい
顔立ちでッ。
「あは?」
こんなとき
いい切り抜け方の
ひとつも思いつかず
思わず
笑ゴマしてしまうしかない
自分が哀しいッ。
ああ。
こんなとき
セイがいればッ!
セイがいれば
セイがいれば
「セイが…」
「俺がどうした?」
「!?」
その声に振り返ると
真っ白な制服を着た
王子様が立っていてッ!!!
キラキラまばゆい
そのお姿ッ!!!!!!
駅員さんに
掴まれていた私の腕を
強引に奪い返して
セイが私と駅員さんの間に
立ちはだかるッ!!!!
「セイッ!!」
いったいどこで
油を売っていたんだ、と
言いたいのも
やまやまだけどッ
今はこの場に
戻ってきてくれたコトに
感謝をしようッ!!!
セイなら
機転を利かせて
きっと上手くこの場を
切り抜け…。
「ほら、電車が来たぞ!」
「!!?」
セイは私の腕を掴んだまま
強引にホームへと
階段を駆け上がりッ。
「電車が来るってッ!?」
「こらッ!
君達ッ!!!
駆け込み乗車はッ」
後方から聞こえてくる
駅員さんの制止を振り切って
「セイッ!」
マズいよッ!
電車の発車ベルの鳴り響く
湿気たホームから
そのままイッキに
電車に飛び乗ったッ!!!!
「…セーフッ!」
「セーフじゃないよッッ!!」