セイってばッ
「カラーコピーを
5枚集めたら
トーコのお宝写真
プレゼントでも
やってるのかもよ」
なんてッ!!!!
「どうしてこの状況で
そんな風に
笑っていられるんだかッ!」
「…俺、笑ってる?」
セイがマジな顔で
私の顔を覗き込んできてッ。
「…笑ってるように
見えましたけどッ!!!」
「どこが?」
ほ〜ら!
もっとよく見て、って
セイの顔が
グンと近づいてくるッ。
「…むむッ」
「ほら」
「……」
むむむむむッ。
むむむむむうううううう。
セイの雰囲気に
飲み込まれそうになっていた
私を
「きゃ」
強風に煽られて飛んできた
カラーコピーに
足元を取られた
通りすがりの女性客の驚声が
現実に引き戻した。
「大丈夫ですかッ」
私は
両手に荷物がいっぱいの
その女性客の
足元に手を伸ばして
絡みついていた
濡れたカラーコピーを
剥ぎ取り
素早く丸めると
「ありがとうございます」
お礼を言われて
ちくん、と
ちょっぴり胸が痛いッ。
もちろん
私がバラ撒いたワケじゃ
ないけれど。
「……」
私は
女性客が足早に去っていく
その後ろ姿を確認して
そっと
手の中にあるコピー用紙を
広げ、見た。
「…指名手配犯の写真の
ようだな」
耳元でセイの声ッ。
私の腰を抱きながら
背後から私の肩に
自分のアゴを置くようにして
カラーコピーを
見つめてててッ。