「…うるさいわねッ」

私だって
どうせバラ撒かれるなら

もっと可愛いく写っている
写真がよかったですッ。


こんな写真ッ。

いったい
どこで手に入れたのかッ。


思いっ切りカメラ目線で
写ってるし。

画像もすんごく荒いから

何かの集合写真を
引き延ばしたんだろうって

検討はつくけれど。


「…みんなで
集合写真を撮るときは

いっつも
笑顔をちゃんとつくって
写るように
気をつけているのに…」


何もこんなレアな1枚
探し出してこなくてもッ。


「生真面目な
トーコの顔って

ホント、どこか見る者を
笑顔にするよな」


…それは
ど〜ゆ〜意味でしょうかッ。


だけど。


「…確かに
嫌がらせにしては

バラ撒く写真として
インパクトに欠けるよね」


嫌がらせで
こんなマネをやるにしても

どうしてこんな写真
だったんだろう。


「…これ、バラ撒いたの

やっぱり
あの子、だよね…?」


フクフクホッペの少女。

そう考えるのが
確かに自然なんだけど。


私の気の抜いた写真、なんて

ケータイカメラで
いくらでも撮るチャンスは
あったハズで。


「…わざわざこの写真を
あの子が選んだのには

何か意味があるのかな」


私は濡れたカラーコピーを
丁寧に手で伸ばして

何かヒントがないかと
目を凝らした。


「…そんな風に犯人を
早々と断定してもいいのかね」

「あッ」

セイが私から
コピー用紙を取り上げて

「他にも
お前に恨みを持つ
人間がいたりして…」

意地悪なツッコミを
入れてくるッ。