「自慢じゃないけどッ

他人様に恨みを買うような
生き方は

していないつもりだよッ」


「…教えても、教えても
賢くならない生徒に
業を煮やした

教師の仕業、とか?」


「…むッ」


「ダイエットしている横で
大食いするお前に逆恨みする

クラスメイト、とか?」


…もしもしッ?


「学食でひとりだけ
試食をさせて貰ったコトを…」

「もういいからッ!!!」


セイに掛ったら

どんな世の中も
悪意だらけに
見えてきますッ。


「…どうして
こんな風に

曲がったモノの見方しか
出来ないような人間に
育ってしまったのかッ」


ちいさいときのセイは

本当に
素直で可愛かったのにッ。


「多角的にモノを見ている、と
言って貰いたいね」

私の写真を
これ以上ないくらい
ちいさく丸めて

ゴミ箱に捨てるのはッ

「間接的に私を捻り潰した
つもりなのかなッ!?」


セイは私の憤りを
軽くスルーしてッ

「ほら、こんなトコロで
油を売ってる時間はないぞ」

ひとり
さっさと歩みを進めるッ。


「他にも
どんなコトをされているか
わかったモンじゃないからな」


覚悟してろよ、なんてッ

私を脅しながら

セイが
早足にホームの階段を
駆け下りていってッ。


それは、ど〜ゆ〜意味
なんでしょおおおおおッ!!


もはや
私のアタマでは
想像もつきませんッ。


「待ってよねッ!」

すっかりセイのペースに
ハマっているコトに
気づきもせず

私は
セイの後を追い掛けたッ。