「カッコいいだろ?
ちょうど
特注していたケータイが
仕上がってきててさ」
「ケータイの
お店に行ったのなら
私のヤツも
最新の防水のヤツに
機種変更してくれても
いいじゃないッ」
私はセイの
ご自慢のケータイを
取り上げる!
「…お前はそれで
自分の罪を
上手に棚上げした
つもりなのか?」
セイが妖しい目をして
余裕然、と
自分の頬を筆でなぞった。
「この筆。
案外、刺激があるのな」
「……」
「トーコの
感じやすいトコロ
いろいろ
可愛がってやれそうだ」
夕陽を浴びて
妖しく微笑みながら
セイの上品な指先が
私のアゴ先を
持ち上げるッ。
眠っているカノンくんを
下にして
セイの唇が
近づいてきたから
「ちょ、セイッ」
私は必死でドアの方へと
身をひるがえすッ。
「…病室で追いかけっこも
楽しそうだな」
なんてッ。
非常識が常識のセイに
何を言っても
通じないのかッ。
「……」
ジリリ、と
後退しようとする
私の腕を捕まえようと
セイの長い腕が
伸びた瞬間!
セイのカラダが
カノンくんの
制服に触れ
バサッ!
おおきく揺れて
落ちてくるッ!
「あッ」
私は思わず落ちた制服に
手を伸ばしていてッ
グシャ!
タッチの差で
カノンくんの制服は
セイの尖ったブーツの下に
納まった…。
「……」
「……」
セイがゆっくりと
カノンくんの制服を
持ち上げる。
「…それッ!
クリーニングから
帰ってきたばっかりでッ!
色も白だしッ!」