【215】

「ケンちゃんは本当に
歌が好きだよね〜」

天下御免の
迷アレンジャー。

今日は家にセイがいないから

誰に咎められるコトなく
気持ちよさそうに
歌ってる。


「セイは居るだけで
圧力を感じさせるもんね〜」


元の楽曲の音階の名残りすら
どこにも残ってはいないけど。

ガナリ声だって

オトナになったら
きっと
素敵なハスキーボイス。


「おおきくなったら
ジャズシンガーなんて
素敵じゃない？」

私のちょっぴり
お世辞の入った発言に

「トーコは全然
わかってないなッ」

ケンちゃんが
おおきく反応を見せたッ。


「今、一番
ホットなジャンルは

“ノイズ”なんだぞッ」

「……」


トーコは
世間知らずだな、って

ケンちゃんが
おおきく胸を張りッ。


「……」

…セイは居ても居なくても

色濃く
その存在感を残してるッ。





とことんトーコッ☆【215】

≪〜完〜≫