【217】
生プリンに挑む勇気。
なごやかな我が家の休日。
日も暮れようと
していた頃。
「今日は親父もおふくろも
仕事で留守だから
いっしょに
食べてくれないか」
シンスケが
生プリンを持って
やってきた。
「それは嬉しいな」
プリン好きのパパが
読書の手を止めて
「とっておきの紅茶を
いれましょうね」
プリン好きのママが
張り切った。
だけど
このプリンの箱って…
「もしかして手作り!?」
「ああ。
ナンノが
差し入れてくれたんだ」
「これッ
ナンノの手作りなの!?」
ああ、ビックリッ!!!
「家でたくさん
作りすぎたから、って
突然家に訪ねてきて
ストゥファートディ
ヴェルドゥーレと
この生プリンを
置いていったんだけど」
ってッ。
何故だか
シンスケの笑顔が
ぎこちないッ。
「ストッ…???」
「Stufato di verdure!
野菜のごった煮だな」
セイの意地悪な
料理用語解説に
何をどう煮ていたのか
なんて
想像の域を出ないけどッ
ナンノちゃんッ
頑張りましたねッ。
「そのストなんとかって
美味しそうだよね!」
「イタリアの家庭料理
らしいんだけど…うッ」
「シンスケ?」
「…ごめんッ!
ちょっとトイレ貸して」
「え」
お腹を抱えて
トイレに走っていく
シンスケの後ろ姿。
「……」
「……」
「……」
「……」
好物の生プリンに
手をつける勇気を
家族4人、試されるッ。
とことんトーコッ☆【216】
≪〜完〜≫
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