【200】
セイの似顔絵。
「トーコは
描きやすい顔をしているから
すぐにわかるわね」
我が家のリビングで
自分の知り合いの似顔絵を
片っ端から描いていた
ケンちゃんの
絵を覗き込みながら
ママがサラリ、と
失礼なコトを言ってますッ。
まん丸な顔に
目よりもでかい丸い眉毛ッ。
似顔絵と言うモノは
ときにして残酷だッ。
「それに比べて
セイの顔は難しいわよね」
なんてッ。
セイの顔が上手く描けずに
さっきから
手が止まってしまっている
ケンちゃんに
「セイは顔のどのパーツの
形もおおきさも配置も
完璧すぎて
これといった
特徴のない顔だから」
描きやすそうな
ウチのおじさんを
先に描きなさい、などと
言うだけ言って
ママは夕食の支度をしに
キッチンに
消えていったけどッ。
「…セイは顔の特徴より
性格の特徴を誇張すれば
似るんじゃないの?」
傍にあったチラシのスミに
私はセイの似顔絵を
描いてみるッ。
「犯罪者のような
でっかい三白眼に
口元には牙、描いて…」
「で、そのアタマの上に
ついているのは
悪魔の触角か?」
「!!!」
気がつくと
自室に籠っていたハズのセイに
不覚にも私は
しっか、と
背後を取られていたッ。
「ほら、どうした。
モデルが傍にいるんだ。
思う存分、描くといい」
「……」
まさに本物の悪魔が
私の肩にアゴを乗せているッ。
「トーコには無理だぞッ。
何かと観察力不足なオンナ
だからなッ」
…子どもってゆ〜のは
どうしてこう
要らないコトには積極的に
ツッコミを入れてくるのかッ。
「ダケン。
たまにはいいコト言うよな」
ケンちゃんのアタマを
小突きながら
調子づいたセイが
私の正面の席に座り直したッ。
「俺の似顔絵が
正しく描けるようになるまで
俺から目を逸らすのを
禁止する!」
なんてッ!
横暴なッッ!!!
「何よッ、それッ!」
「ずっと、ずっと
お前は俺だけを
見つめていればいいんだ」
「え…」
やさしい目で
セイがそっと笑ってる…。
とことんトーコッ☆【200】
≪〜完〜≫
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