【203】
おたふく風邪の真偽。
ケンちゃんが
おたふく風邪でダウンしたと
連絡を受けて
「私ッ、おたふく風邪は
罹ったコトなかったよねッ」
私はママに確認するッ。
「大丈夫よ。
セイは5歳のとき罹ったけど
病気のセイと
いっしょに寝ていたトーコは
平気だったから」
ってッ!
「当時はたまたま
感染らなかっただけかも
知れないじゃないッ」
「…それが感染ったかどうかも
よくわからないのよね」
はいッ!?
「セイは頬が腫れているのも
ひと目見てすぐにわかったけど
トーコは普段から
顔がパンパンだったから」
もしもしもしッ!?
「セイが罹ったとき
トーコも熱はあったけど
あれが食べたい
これが食べたいって
食い意地だけは
いつも以上にあったのよね」
「……」
「病院の先生も
姉弟に発症者が出たら
隔離しても手遅れだからって
おっしゃってたから…」
セイの頬の腫れが引くまで
1週間。
「トーコも学校をお休みさせて
セイと同じ部屋で
寝かせておいたんだけど」
…結局ッ。
それは
おたふく風邪だったのかッ。
ただの知恵熱だったのかッ。
わからないままの
放置プレイだったのですねッ。
「…可哀そうな私ッ」
ソファーの上で
激しく脱力する私のアタマを
ママが嬉しそうに撫でながら
「あら。トーコは
寝て食べての生活を
とっても満喫してたわよ」
なんてッ
嫌な思い出し笑いッ。
「いつになくセイのカラダが
ぽかぽか温かい、って
1週間、セイのコトを
抱きマクラ代わりにしていてね」
その話ッッ!!!
「セイには
絶対に教えないでねッッ」
「あら、どうして?」
…どうして、ってッ!
「ママ、ママって
夜泣きしていた
おたふく風邪のセイのコト
1週間ず〜っと
抱きしめていてくれたなんて」
セイが知ったら
むしろ
一生、感謝して貰えると
思うんだけど、ってッ。
…ママッ。
せっかくの
素敵なエピソードッ。
申し訳ないですが
もう素直に胸を張る気力も
なくなってますッ。
とことんトーコッ☆【203】
≪〜完〜≫
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