【191】

無理ッ、入らないッ。

「こら、動くなよ」

「やだ、やだ!
やっぱ、怖いもんッ」

「大丈夫だよ」

「そんなモノ
入れたくないしッ」

「いいから
おとなしく俺に入れさせろ」

「やだってばッ」


「…アナタ達
何やってるの?」

「!!!」


私のゴミが入って
赤くなった目に
目薬を点そうと

セイが嫌がる私の上に
馬乗りになっていたら

突然ママが
部屋に入ってきたッ。


「トーコが汚い手で
目を擦ったりしてるから!」

見てよ、とセイが
私の真っ赤になった右目を
ママに向けるッ。


「…トーコのつぶらな目に
目薬を点すのは
確かに
昔から至難の業だったわ」

なんてッ!

私の目がちいさいから
目薬が入らないと
騒いでいたワケでは
ありませんッ!!!


「視力の悪いヒトには
わからないかも
しれないけどッ」

目薬の水滴が
スローモーションみたいに
寸前まではっきり見える
その恐怖ッ。

「動体視力がいい私にとって
水滴の落ちてくる時間は
あまりにも長すぎなのッ」


「ほらッ!
言い訳はもういいから!
いい加減に観念しろッ」

私の訴えなど
簡単に却下して

ママの加勢を得たセイが
私のアゴを押さえつけッ。

「…そうだわ!」

ママが何かを閃いたッ。


「水滴が落ちてくるのが
怖いのなら
いっそ目薬の液体の中に
トーコを沈めてみては
どうかしら」


「……」
「……」

…ママの世にも恐ろしい
逆転の発想に

「…ほら、目薬、点すぞ」
「…うん」

私はセイの言うがまま
覚悟を決めて
おとなしく目を開くッ。





とことんトーコッ☆【191】

≪〜完〜≫



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