【187】
ざんばらの責任。
貼り絵遊びをしていた
ケンちゃんが
突然、持っていたハサミで
自分の前髪を切り始めたッ。
「ケンちゃんッッ!?」
確かに
少々伸び過ぎて
うっとおしそうでは
あったけどッ。
ハサミを取り上げても
時、すでに遅くッ。
「…どうしよう。
前髪、メチャクチャ
ザンバらってるよ…」
ケンちゃんが
ハサミを入れた前髪を
必死で他の髪と
馴染ませてはみたけれどッ。
「……」
お迎えにきた
ケンちゃんのおばあちゃんが
しばし絶句した後
「髪はすぐに伸びますから」
フォローのコトバを残し
ざんばらバラバラな前髪の
ケンちゃんを連れて
帰って行った。
「ああ〜…」
自分のふがいなさに
落ち込んでしまう。
ソファーに座っていたセイの
足元に
ヒザを抱え
丸くなって座ってたら
「いつまでも終わったコトを
ウジウジするな」
セイが長い足で
甚振るように
私の背中をグリグリするッ。
「…コトバはやさしかったけど
おばあちゃんのあの目は
絶対、私の無責任さを
責めてたよね…」
ハサミなんか
持たせなきゃよかった。
ううん。
「…調子に乗って
ケンちゃんなんて
預かるんじゃなかった…」
「……」
どーんと落ち込む
私のアタマを
今度は
セイのやさしい手が
何度も何度も往復するから
「…おばあちゃんだけ
じゃないよ。
あの前髪を見たら誰だって
私のコト
なんて無責任な娘だ、って
思うと思う」
その手のやさしさに
甘えてしまいそうな
自分がいた。
「それはみんなが
そう思ってるだけだ。
気にするな」
「……」
…夢から覚めるような
冷静な励ましを
ありがとうッ。
とことんトーコッ☆【187】
≪〜完〜≫
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