【185】

ボールペンのインク復活。


リビングの壁に掛けてある
カレンダーに
予定を書き入れていたら

突然、ボールペンのインクが
出なくなったッ。


「昨日、ママに頼まれて
買ってきたばかりなのにッ」

まだインクも残っているのにッ

「不良品を掴まされたのかな」

何だかガックリ、だ。


ゴミ箱に捨てようとした
ボールペンを

「あ」

セイが私から取り上げるッ。


「…消費期限は
まだ切れてないし」

ペン先のボールの状態も
悪くない、って

簡単にボールペンを
チェックして

「ボールペンっていうヤツは
下向き以外で使うと

インクが重力に負けて

中に空気が入って
書けなくなるんだ」

ボールペンをグルグル回して
遠心力で
中から空気を追い出したら
また書けるようになる、と

セイがゆ〜モンだからッ。


ボールペンをしっかり握って

グルグルグルグルグルッ

力いっぱい、めいっぱい
肩が外れんばかりに
全速力で腕を回した。


のにッ!!!

「もっと
素早く細かく回さなきゃ
空気は抜けないぞ」

グルルルルルルッ!!!!!


腕がちぎれんばかりに
回し続けてる私を
横目で楽しみながら

「まだまだ、だな」って

セイがクスクス笑っててッ!


「だったらッ!
セイが回してみなさいよッ」


「…いいけど」

余裕めいた笑みを湛えて

セイが引き出しの中から
輪ゴムを取り出し

ボールペンに輪ゴムを
引っ掛けたかと思ったらッ!


グル、グルルッ!!!!!

ヨーヨーをみたいに
ボールペンを指先だけで
ほんの数秒回しただけでッ


「ほら、空気が抜けた!」

ってッ!!!!!!

ボールペンの書き味も
なめらかに

セイが私の似顔絵を
書いていくッ。


「…どうして最初から
輪ゴムを使えばいいって
教えてくれなかったの?」

ひとり暖房の入った部屋で
汗ばむ自分が
とっても空しいッ。


「急がば回れ。
汗は何より尊いぞ」


…そのセリフ。

アナタにだけは
言われたくはありませんッ。





とことんトーコッ☆【185】

≪〜完〜≫



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