【183】

こぼれ落ちる記憶。

リビングで
テレビを見ていたハズのママが

メモ帳片手に凄い形相で
突然、私の部屋に入ってきて

無言のまま
学習机の引き出しを開けるッ。


「ちょ、ちょっとッ!
ママッ!
何してるのッ!?」

「……」

動揺する私を無視して
ママが引き出しの中から
サインペンを取り出すと

持っていたメモ帳を
机の上にどん、と置いてッ!


「もしかしてッ、ママッ。
声が出なく
なっちゃったのッ!?」

いつからッ!?
いつからなのッ、って

ママの背中を激しく揺すると

「酷いわ!、トーコッ!!」

テレビショッピングの
電話番号と商品番号の数字が
アタマの中から
こぼれないように

そっとそ〜っと息も止めて

「やっとの思いで
サインペンまで
辿り着いたのにッ」

数字がアタマの中から
こぼれて無くなった、ってッ

ママが私を責めてきたッ。


ママの持っていたメモ帳には

出なくなった
ボールペンの跡と

ママの苛立ちの経緯が
うっすらと残っていてッ。


「…一体、ママは
何を買おうとしていたの?」

「え〜っと、何だったかしら」

購入する為に
必死に頑張っていたとゆ〜のに
なんともはや頼りないッ。


「数字を覚えるのに
必死だったから…」

「…記憶のスミにも
残ってないの?」

「それよッ!!!」

「!?」

私の”記憶”という単語に
ママがおおきく反応をみせッ

「記憶力を鍛えるCD!」

トーコの成績アップに
少しでも貢献できればと
思ったの、ってッ。


…それが本当に必要なのは
誰なのかッ。

ママに自覚症状はないッ。





とことんトーコッ☆【183】

≪〜完〜≫



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