【176】

我が女子新体操部の
ライバル校の極秘ビデオが
手に入ったッ。

学校の視聴覚室が
使えなくて
急きょ、シンスケの家で
ビデオをチェックするコトに。

「ホームシアターなんて
いつの間に作ったのッ」

ちいさい頃
よく遊びにきていた
シンスケの部屋が
すっかり
様変わりしていたコトに
驚きを隠せないッ。

「これって
ちいさいときの
シンスケくん？」

借りてきたネコのように
おとなしくなっていたナンノが

緊張を誤魔化すように
床の上にあったアルバムを
手に取ると

「あッ！、それはッ！！！」

シンスケが血相を変えて
ナンノからアルバムを
取り上げたッ。

「……」
「……」
「……」

…ちらっと
見えたアルバムの中身ッ。

「…ほらッ
ちいさい頃って
恥ずかしい写真が多いからッ」

シンスケは
必死で言い訳してるけどッ。

「……」

…写真の中
小学生のシンスケが
ちいさなセイの肩を
嬉しそうに抱いていてッ。


私も知らないセイの写真ッ。

床の上に置きっ放しにして
毎日眺めているって
コトなのかッ。

…額から
嫌な汗がこぼれてくるッ。


「大丈夫ッ！
笑ったりしないから」

ナンノが複雑な笑顔で
見せて、と
おねだりしていますけどッ。

あんな妖しい写真集ッ。

見てしまったら
いくらナンノだって
シンスケの性癖に
気づいてしまうに
決まっていますッ！！！

「…ちいさい頃の
オトコノコって
親に変な写真とか
撮られたりするからねッ」

シンスケを庇おうとする私に
向けられる
ナンノちゃんの
厳しい目ッッ！！！

「ウチのセイだって
急所をヌイグルミで隠してる
オールヌードなんか
撮られちゃってるんだよッ！」

…それはセイではなく
ホントは
私の写真の話なんだけどッ。


「…そのヌイグルミ
今もお前の家にあるのか？」

…シンスケのッ
その真っ直ぐな眼差しが

怖いですッ。





とことんトーコッ☆【176】

≪〜完〜≫