【154】
そっくりな赤ちゃん。
女子新体操部の顧問の
オトコの先生が
1歳になる息子を連れてきた。
厳つくて
声がやたらとおおきくて
笑顔がキモいと評判で
いつもニンニクの臭いを
させている。
そんなニンニク先生が
部活に顔を出しただけで
いつもはみんなして
露骨に嫌な顔をするのに。
「かわいいね〜」
「私にも抱かせて〜」
今日ばかりは大歓迎で
取り合うようにして
代わる代わる
先生の赤ちゃんを
抱っこするッ。
だけど。
部長のナンノだけが
みんなの輪から離れて
ひとり壁に寄りかかったまま
遠くから様子を見ていて。
「ナンノって
赤ちゃんとか
苦手だったっけ?」
「…赤ちゃんは好きだけど」
「だけど?」
「先生にそっくりな赤ちゃんを
抱っこしてて
先生を抱いているような
気分にならない?」
…ナンノの恐ろしいひと言に
「……」
「……」
「……」
みんなが無言で
罪もない赤ちゃんを
押しつけ合ったッ。
とことんトーコッ☆【154】
≪〜完〜≫
この作品をお読みになった
感想をお寄せください。
下記の感想の中から
ひとつ選び
【いいね!】ボタンを押すと
お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。
絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。