【181】

ペアのシャンパングラス。


セイが
ねずみ〜らんどの先生の家から
シャンパングラスを2個
持ち帰ってきたッ。

グラスにはそれぞれ

セイを意味するであろう
【s】と

先生の下の名前、タカヒロの
【t】のイニシャルと

キラキラと輝く
光る石が散りばめられていて。


「…これ、宝石?」

「当然!」

オーダーメイドだもん、って
ジンジャーエールを注いだ
タカヒロ【t】のグラスを

セイが私に押しつけてくるッ。


「…先生が大事にしてる
グラスじゃないの!?」

「先生がトーコに、って
くれたんだぜ?」

確かに、先生と私は同じ
イニシャル【t】だけどッ。

…怪し過ぎッ。


「トーコの【t】だろ、とか
セイが無理やり因縁つけて
持って帰ってきたんじゃ
ないの?」

「グラスに
はめ込まれている宝石は
トーコの星座だと思うけど」

「え?」


…言われてみればッ。

星座はわからないけれど
そこに散りばめられている
宝石は
私の誕生石と同じ色だ。


だけどッ。

何の気まぐれでこんなモノを
プレゼントしてくれたのかッ。

「……」

…よからぬ想像に
背中に冷たい汗が
滲んでくるッ。


「はい、乾杯!」

「…乾杯」

疑心暗鬼に囚われたまま
セイが差し出してきたグラスに
私が
自分のグラスを近づけると

「わかってないな」

セイが私のグラスから
自分のグラスを遠ざけた。


「乾杯は
グラスを合わせるモノじゃなく
目を合わせるモノだ」

「……」

グラスに散りばめられた
高価な宝石達よりも
妖しい光を放つセイの瞳が

私からコトバを取り上げる…。





とことんトーコッ☆【181】

≪〜完〜≫



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