【144】
初詣の願いゴト。
「もうすぐ今年も終わりだね」
セイとふたり
近くの神社で除夜の鐘を聴く。
「…初詣なんてッ
行くヤツの気がしれないッ」
人混みが嫌いなセイは
さっきからずっと
この通り機嫌が悪くてッ。
「だから私はナンノ達と
いっしょに行く、って
言ったのにッ!」
「…俺に内緒で
神様に何をお願いする気だッ」
なんてッ。
「何だっていいじゃないッ!
いろいろ、よッ」
「いろいろ、って。
小銭の賽銭で
一体、いくつ願い事を
する気なんだかッ」
…うるさいなッ。
「…夢や希望は
具体的な方が叶いやすいって」
教えてくれたのは
セイなのにッ
「煩悩だらけの
欲深いトーコに
関わった神様も大変だ〜」
ナナメ上から
私を見下ろしていてッ。
「年越しそばの
海老のてんぷらッ!
私から奪おうとしたのは
誰でしたっけッ」
思わず私も熱くなるッ。
「代わりに
みつ葉もカマボコも
やっただろう?」
2種類も貰っておいて
文句を言うなんて
お前は本当に
煩悩の塊だな、ってッ!
「そ〜ゆ〜セイは
どうせまた”心願成就”とかッ
コずるいコトを
考えてるんでしょ〜けれどッ」
私はセイと繋いでいた手に
力を入れたッ!
だけど。
「…神様に叶えて欲しい
願い事なんて別にないよ」
私の握力なんて
たちまち
セイのその深い瞳に
吸収されて。
「ホントだよ。
トーコがいれば何もいらない」
セイの温もりが
私の手に伝わってくる…。
とことんトーコッ☆【144】
≪〜完〜≫
この作品をお読みになった
感想をお寄せください。
下記の感想の中から
ひとつ選び
【いいね!】ボタンを押すと
お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。
絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。