【138】

冬至のカボチャ。

冬至の日に
カボチャを食べると

「風邪知らず」
「お金に困らず」
「厄除け」
「長生き」

しあわせで健康長寿に
日々を過ごせると言う。


キッチンから
カボチャを炊く鍋が
さっきからコトコト、と
いい音を立ていて。

「もうそろそろ
出来たんじゃないのかなあ」

菜箸と小皿を持って
お鍋の傍で
私は味見のスタンバイッ。


「煮物は
少し冷ましてからの方が
味が染みておいしいのよ」

「……」

去年もママがそう言ったから
冷めるのを
楽しみに待っていたのに

ママってば
近所の皆さんに
出来たカボチャを
配ってしまって

私の口に入ったのは
ほんのちょっぴりだったから

「はふはふ、はふッ!」

ママのアドバイスを
無視して
私はアツアツのカボチャを
頬張ったッ。


「去年ママの作った
カボチャの煮物を
たくさん食べたタドコロさんは
一年中
風邪知らずだったしねッ」

主張する私に

「トーコの方が
タドコロさんよりも
よっぽど頑丈だっただろ」

チャリリリリ〜ン。

セイが
私の小銭ばかりの財布の中身を
引っくり返してみせるッ。


「確かに去年
母さんのカボチャを食べた
ご近所さんに
宝くじや旅行券の当選者が
何人か出てたけど」

カボチャなんかを食べるより
全身を金色に塗った方が
ご利益があるかもよ、って

セイが私に耳打ちしてきてッ。


「今夜、手伝ってやろうか」


「…はふはふ、は…」

それは
アツアツのカボチャの
せいなのかッ。

全身から汗が噴き出したッ。





とことんトーコッ☆【138】

≪〜完〜≫



この作品をお読みになった
感想をお寄せください。


下記の感想の中から
ひとつ選び

【いいね!】ボタンを押すと

お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。


絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。



特に感想はありません。
次の話も期待しています!
今回の話は特にお気に入りです!