【137】

シュールなトラの絵。

年賀状。

「トーコが
イラストを描くんなら

俺がパソコンで文字をつけて
プリントアウトしてやるけど」

セイの思いもかけぬ申し出に
ダインニングテーブルを
陣取って
私はトラの絵に
チャレンジするッ。


「トーコが描くトラって
トーコによく似ているわ」

見るヒトを思わず和ませる
脱力系の
人畜無害なトラネコね、って

ママが私の手元を
覗き込みながら笑っててッ。


「…この絵は
肩慣らしだもんッ」

本番の絵はちゃんと
トラらしく描くから、って

私はカラーペンの箱の下に
その絵を隠そうとしたのにッ。

「あッ」

「下手ウマなカンジが
なかなかシュールで
トーコらしいぞ」

セイが私の手から
素早くイラストを奪い取って

「あッ!!」

自分の部屋に入っていったッ。

「やだッ!
セイッ、そんな絵を
採用しないでッ!」

カギの掛っている
セイの部屋のドアを
私はドンドン、叩いて
嘆願するッ。

なのにッ。

「ほら年賀状の完成だ」

セイってば
私の意思を無視して

トラの絵に
新たにトラ柄の背景と
文字を入れて
強引に仕上げてくるッ。


【今年の私も愛されてます♪】


「…何なのッ」

トラの絵についた
この恥ずかしい
キャッチフレーズはッ!


「しかも…ッ!」

ご丁寧にも
私の描いたトラの顔に
ピンクの唇マークが大量に
つけられているではないかッ!


「俺のキスマーク。

いつもより多めに
サービスしておいたから」


「……」


トラ柄だとばかり
思っていた背景も

よく見たら

おおきなトラが
私の描いたトラを

後ろから
やさしく抱きしめていて…。


「…だけどッ」

トラの唇じゃ
こんなキスマークには
ならない、って

私の照れ隠しの
要らないツッコミに


「…そこまで
こだわりたいのなら

トーコのカラダに
キスマークつけて
リアル写真で作成しようか」


…セイの瞳が
キラリ、と光ったッ。





とことんトーコッ☆【137】

≪〜完〜≫


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