【133】
オススメのお餅は?
今日は朝から
地域のモチつき大会に
借り出され
「朝からおモチを丸めたり
鍋の中のぜんざいを
書き回したりしているのにッ」
みんなに配るばっかりで
ちっとも自分のお腹の中に
入ってくる気配はないッ。
私の前には
引きも切らずに
延々と長蛇の列。
「トーコちゃんの可愛い手で
丸められていると
同じおモチでも
美味しそうに見えるわね」
地域ボランティアのオトナ達が
おだてるから
お昼も取らずに頑張っていた。
「どれも美味しそうだねえ」
おもちを丸める私の手元を
覗き込みながら
老夫婦がオススメを訊いてくる。
「そうですね〜。
あんころモチなんて
とっても美味しそうですよ〜」
あんころモチの
素晴らしさを語っていると
正直で欲深い私のお腹も
ぐうう、と鳴ってッ。
「…お嬢ちゃんは
あんころモチ
まだ食べてないのかい?」
老夫婦の疑念の目ッ。
「あ、でもッ!
指についたあんこを
さっきから舐めてますけど
舐めるのが
止まらなくなるくらい
本当に美味しいですからッ」
それくらい美味しい、って
伝えたかっただけなのにッ
「……」
…お客がイッキに
私の前から消えていった…。
とことんトーコッ☆【133】
≪〜完〜≫
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