【122】
アイドルに似ている?
「やっぱりこっちを見てるッ」
間違いないッ。
私を見てるんだッ。
部活上りの
夕方の駅のホーム。
向かいのホームにいる
ウチの制服を着た
あのかっこいいオトコノコは
ナンノでもなく
他のメンバーでもなく
私のコトを見つめているッ。
「…ほら、トーコ!」
シンスケが真面目な顔で
自分のカラダの後ろに
私を引っ張ろうとして。
「…見つめてるってゆ〜よりも
トーコのコトを
キツイ眼差しで見てるけどッ」
ナンノが向こうのホームを
睨み返すと
男子は口を尖らせ
横を向いた。
「あ〜あ、可哀そうに」
ナンノの隣りでシンスケが
オトコノコに同情するッ。
「アイツ。
俺と同じクラスだった
1年生のときから
アイドルのにゃがさわチャンの
ファンだったからさ」
「えッ」
私ッ
アイドルのにゃがさわチャンに
そんなに似てるかなッ。
シンスケに指摘され
思わず赤面だッ。
確かに笑った顔なんか
雰囲気は似てるかも、って
思ったコトはあったけどッ。
「へへへへへッ♪」
隠しきれない嬉しさを
誤魔化すように
私は背後にあった広告板の
アクリルガラスを
鏡のようにして
自分を映してみる。
「髪型とか
にゃがさわチャンを
意識してるとか
思われたら嫌だなあッ♪」
今日、帰ったら
セイに何て報告しようかなッ。
シンスケやナンノってゆ〜
証人がいるのは
何よりも心強いッ。
「…ねえ、あの男子。
このポスターが見たくて
トーコのコト執拗に
睨んでたんじゃないのかな」
「え?」
ナンノに指摘され
一歩後ろに下がって
前を見ると
広告板の中には
貼られ立てらしい
「にゃがさわチャン…ッ」
の巨大ポスターがッッ。
「だから
さっきから言ってるだろ!
意地悪せずに
ポスターの前から
さっさとどいてやれば
いいのにさ…」
シンスケの溜息が
私をそっと責めていたッ。
…この一件ッ。
「セイには
ぜひとも、ご内密にッ」
とことんトーコッ☆【122】
≪〜完〜≫
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