【066】
本当のハマり役。
「この映画の主演女優の募集に
トーコも応募してみたら?」
ママが私に
新聞のちいさい記事を
見せてきた。
「セイじゃなく、私ッ!?」
「オーディション会場に来た
全員に、もれなく
お菓子の詰合せが貰えるしッ」
って。
あくまでも
参加の記念品が目的ですかッ。
「たかが数百円の
お菓子の詰合せを貰う為に
オーディション会場への
交通費を払うのか?」
アホらしい話だ、って
セイが新聞を取り上げるッ。
「ケータイで写した
集合写真で
みんなで応募も歓迎です
なんてさ」
いかにも
オーディションの参加者の
分母を増やして
「何万人もの中から
選ばれました、って
すでに決まっている
主演女優のデビューに
箔をつける為だけの
人数集めが目的の
募集だろ」
セイってば、ホント
夢がないッ。
「でも、意外と
監督とかプロデューサーの
目にとまって
親友役とかに
大抜擢されたりするかもよッ」
「そんな分不相応な役なんか
望んで何になる」
セイがマジックで募集記事を
まっ黒に塗りつぶしてッ!!!
「…私にだって
できる役くらいあると
思うけど…」
「いい加減に
自覚するんだな!」
「何をよッ」
「俺の人生の
ヒロイン役こそが
お前の生涯のハマリ役だって
コトをな!」
とことんトーコッ☆【066】
≪〜完〜≫
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