【070】
お味噌の量り売り。
近所の商店街にある
量り売りのお味噌専門店。
どのお味噌も美味しいと
評判の店なのだが
問題点がひとつ。
「あの店のおじさん。
相手を見て
量り売りの量を加減するから
とてもじゃないけど
トーコにお使いは頼めないわ」
ママがとっても
心配するもんだからッ。
「だったら
俺がトーコに
ついていってやるから」って
セイとふたり
商店街にやってきた。
たかがママの買い忘れた
お味噌を買いに走るのに
ふたりもいらないとは
思ったけれど。
未成年だ、と
お店のヒトに軽く思われたのか。
ママが心配していた通り
「いつもの半分くらいの量しか
ないみたいだけど」
セイの眉間にシワが寄るッ。
「ウチの味噌は時価だからね。
毎日、値段が変動してるんだよ」
”時価”ってわかる?、って
おじさんがセイのコトを
小バカにしてッ。
「持って帰るのも
その方が軽くて楽だろう?」
「……」
やっぱり
私がついてきて
正解だったかも〜!!!
「680円でしたよねッ」
私はセイの腕を引っ張って
百円玉6枚と十円玉8枚を
カウンターの上に置いて
お店を出ようとした。
のにッ!!!
セイが
百円玉を3つだけ残して
小銭を自分のポケットに
入れてしまうッ。
「おにいちゃんは高校生?
お金も満足に
数えられないのかな?」
おじさんってば
そんなセイを
また挑発したりしてッ。
「…持って帰るのが
楽なように、って
気を遣って貰ってるんだ。
俺達もせめて
おじさんが楽にお金を
数えられるように、って
気を遣わなきゃ
申し訳ないだろう?」
セイはすがすがしい顔で
お店を出て歩いているけどッ
いつまでも悔しそうに
私達を見送っている
おじさんの視線が
背中にとっても痛いですッ。
とことんトーコッ☆【070】
≪〜完〜≫
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