【076】
ジャンケンこそが…。
「このチーズスフレ
セイが食べるべきだと
思うヒト!」
は〜い、と
セイが手を上げながら
傍にあった
ゴマフアザラシのヌイグルミの
手を取って
強引に挙手させるッ。
「…ヌイグルミは
ヒトじゃないしッ」
だいたい、それって
ゴマフアザラシの
”手”ではなく”ヒレ”では
ないのだろうかッ。
「不公正な多数決は
民主主義の精神に
反してますからッ」
「何を言う。
もともと多数決自体が
民主主義的解決方法では
ないんだからな!」
むむむむむッ。
…またセイが
屁理屈を捏ねて
私からこのチーズスフレを
奪おうとしていてッ。
「じゃ、恨みっこなしで
ジャンケンで決めようよ!」
「え」
私のひと言に
セイが驚いた顔をした。
「…ジャンケンこそが
究極の民主主義的
決着のつけ方だって
誰に教わったんだ?」
え。
「そうなんだッ!?」
「…何だ。
お前は
知らずにジャンケン、って
言ってたのか」
まったく
トーコらしいな、って
セイってば
さりげなくチーズスフレを
口に運んでてッ。
「ジャンケンは
どうしたのよッ!!」
「俺は
民主主義者じゃないから」
民主主義的解決なんか
する必要はないんだ、って。
「結局、セイが
食べちゃうんだッ!?」
「勝ち取って
手に入れたモノは
やっぱり美味いな〜」
なんてッ。
普通に奪うのは
面白くない、と
出来レースさせる。
そう、アナタこそ
確かに
純然たる独裁主義者ですッ。
とことんトーコッ☆【076】
≪〜完〜≫
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