【077】
ピンクのそうめん。
パパもママもいない
セイとふたりきりの
土曜の昼下がり。
茹で上がったそうめんを
お箸が使えないセイが
フォークで
突き刺しやすいように、と
私はひと口分ずつ束にして
結んでいく。
「いい加減
お箸くらい使えるように
なってくれないかな」
面倒ったりゃありゃしない。
白いそうめんに
少しだけ混じっている
ピンク色のそうめんを
選り分けて
うるさいセイの為に
どの束にも必ず
ピンクのそうめんを
入れるようにした。
のにッ!!!!!
「お、ピンクのそうめんだ」
セイってばッ
自分の器ではなく
私のそうめんの中に
指を突っ込んでくるッ!!
「どうして
私のピンクのそうめんを
持って行こうとするのかなッ」
自分のが
たくさんあるでしょ、と
ピンクのそうめんを
拉致しようとしている
セイの左手を掴んで
セイを威嚇したッ。
なのに。
「ほ〜ら、俺達
赤い糸で繋がれてるぞ」
…なんて。
ふたりの左手の指に絡む
ピンクのそうめん。
「…セイはズルイよッ」
「何が?」
セイが妖しく笑ってて。
赤い糸が
私の指といっしょに
お行儀の悪いセイの口の中に
軽やかに
収まっていく…。
とことんトーコッ☆【077】
≪〜完〜≫
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