【008】

名門高校を中退して

教科書なんかは
早々に処分したのに

制服と
校章入りの学生カバンは

未だに
セイの部屋のクローゼットに
入ったままで。


真っ白な学生服は
映画で観た
昔の海軍将校みたいで

まるでセイの為に
デザインされたかのように

これがまた
セイによく似合ってた。


学校なんて未練がない、って
言ってるクセに

捨てずに残してあるなんて。


「…制服って
思い出が詰まってたりして

やっぱり捨てがたいよね」


強がってるセイの本心を
覗いてしまったようで

何だか私まで切なくなる…。


なのにッ。

「ああ。その制服？

それ着て遊びに出ると
何かと
オトナ受けがいいからな」


想い出より、存在価値ッ。


…私の切なさを
返してくださいッ。





とことんトーコッ☆【008】

≪〜完〜≫