【082】

刺繍のスペル。

昨夜、徹夜して仕上げた
ジーンズのビーズ刺繍。

アタマの中に
ひらめいたイメージが
消えないうちに、と

これ以上ないくらい
頑張って仕上げたのにッ。


「トーコはホント
楽しませてくれるよな〜」

刺繍した英語のスペルの
間違いを見つけて

さっきからセイのバカが
ずうううううううっと
笑い続けていてッ。


「…ひと文字入れる
スペースなんて
どこにもないし…」

糸を解いて

もう一度
やり直すしかないか、と

立ち直ろうと頑張っていた
私の横で

「!!!」

セイが私の作品に
油性マーカーで
落書きしててッ!!!


「…うううッ」

最後通告にも似た
セイの行為に
悔しさも倍増するッ。


「あらあら。
素敵なアイデア♪」

「え?」


「早まって
糸を解いたりしないで

ホントよかったわね」

ママの指摘に
セイの落書きをよく見ると。


…ネコのシルエットが

抜けていた
アルファベットを
咥えてて…!

思わずセイに視線を向けるッ。


「せっかくのトーコの頑張り。

ムダにさせるのは
あまりにも忍びないし」


…セイのコト

意地悪なヤツだなんて
先入観を持っていた自分が
恥ずかしい。


「何よりトーコの
この愛らしいおマヌケさは

やっぱり
永遠に残しておきたいからな」


「……」





とことんトーコッ☆【082】

≪〜完〜≫



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