【247】
嬉しいひなまつり。
ひなまつり。
ケンちゃんが
幼稚園で作ったという
お内裏さまとお雛さまを
持って
我が家にやってきた。
「最近の幼稚園って
先生が丸く切り抜いた
折り紙に
クレヨンで
顔の中身を書くだけで
後は先生の作ったパーツを
貼り合わせるだけなのね」
ママが苦笑しながら
私に
ケンちゃんの絵を
手渡すモンだから
「それだと
みんな似たような作品に
なっちゃうよね」
なんて
常識的な意見を
返したのにッ!
「何かなッ
このお雛さまはッ」
思わず叫んでしまった
その個性ッ!
「この眉毛の丸い
お雛さまは
どうやら
トーコらしいわね」
「おうッ!」
…もしかしてッ
「こっちの人相の悪い
お内裏さまは…」
ケンちゃんが私の背後を
指さしていてッ。
「…人相が悪くて
悪かったな」
セイが私の後ろから
腕を伸ばして
ケンちゃんの絵を
取り上げるッ!
「セイッ!!」
何も子どもの描いた絵に
目くじらを
立てなくてもッッ!!!
「ダケンにしては
ずいぶん
気に利いたコトを
するじゃないか」
「え」
グッジョブ、と
セイがケンちゃんのアタマを
ぐちゃぐちゃに
撫で回しッ。
翌日、セイが
ケンちゃんの絵を飾る
額を買ってきた。
「お内裏さまと
お雛さま〜♪
ふ〜たり並んで
嬉し顔〜♪」
デレデレ顔で歌うセイの
歌詞の間違いに
誰も突っ込めなかったのは
言うまでもないッ。
とことんトーコッ☆【247】
≪〜完〜≫
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