【250】

食べたくない理由。

美味しいオムライスの
作り方をテレビで見ていて

「トーコお。
俺、オムライス
食いたくなった!」

セイがエラそうに
私に無理難題を
押しつけるッ。


「だって、母さん
帰ってくるの遅くなるって
言ってたし」

「だから出前取っていいって
ママが言ってたじゃないッ」


私は洋食屋の出前メニューを
引き出しの中から探し出し

電話を掛ける

けど。

「…お店、つぶれたみたい」


「オムライス食いたい!
オムライスッ!」

「…コンビニに
買いに行って来るからッ」


「おッ。
タマゴが割れちゃったあ」

「……」


わざとらしく
ボウルの中にタマゴを
2つも落とす確信犯ッ。


「勿体ないなあ。
これ有精卵だったのに

タマゴも産んだ鶏も
浮かばれないよなあ」


「…美味しくなくても
文句言わないでよね!」

仕方なく
冷凍のチキンライスを
解凍して

薄焼き卵を焼いて
強引に巻きつけ

ケチャップで

イヤミを込めた
【ダイスキ】って文字を

ハートで囲んで

セイに出した。


「……」

冷凍チキンの解凍が
足りなかったのか。

嫌そうに
スプーンでタマゴの端を
いじるばっかりで

いっこうに
スプーンが進まないッ。


「もおおおおッ!」

だからコンビニで
買ってくるって
言ったのに!

「食べる気
しないからって

オモチャにしないで
くれるかなッ!?」

セイから
オムライスのお皿を
取り上げようとした
私の手を

セイの手が阻んだ。


「何よッ!?」

「乱暴に扱うな!

お前が書いた
【ダイスキ】の文字が
潰れるだろうがッ!」


「……」

私の顔が
ケチャップの文字より
赤く染められる。





とことんトーコッ☆【250】

≪〜完〜≫



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