【269】
誰の長所ッ!?
学校に提出する
家庭調査書の
長所と短所を書く欄。
「たくさん
書くコトがありすぎて
とてもじゃないけど
この欄に
収まる自信はないわ」
ママが私の調査書を前に
アタマを抱えてるッ。
「そこは
サラッと書いてくれれば
いいんだからッ!」
ママってば
何を書こうとして
いるんだかッ。
「ほらッ!
去年書いたのと同じで
構わないからッ!」
「去年のって
何て書いてたんだっけ?」
「え〜と」
そう言われてみれば
私も何て書いて貰ったのか
覚えていない。
「確かあのときは
セイが考えてくれたのよね」
「私ッ
セイに訊いてくるッ」
自分の部屋のパソコンの前で
仕事をしていたセイに
声を掛けると
「……」
セイは私を無視して
これ見よがしに
分厚い本なんぞを
本棚から
取り出したりしてッ!
「意地悪しないで
教えてくれても
いいじゃないッ」
「……」
俺に面倒なコトを
訊いてくるなと
言わんばかりのその態度ッ。
「…従順で気が利く」
「え?」
あ。
「そう!
そうだったよねッ!
従順で気が利く、だッ!」
「…その体毛が
枯れ草色に似ているコトから
“柴犬”と呼ばれている」
セイは自分が
読み上げている本の表紙を
私に見せた。
「……」
去年、堂々と
家庭調査書に書かれていた
私の長所は
まさかの
“柴犬”の特徴
だったとはッ。
とことんトーコッ☆【269】
≪〜完〜≫
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