【278】

謝れないけど。

昨日で期末テストが終わり
今日から嬉しいテスト休み!

「たっくさん寝て〜。
美味しいモノ食べて〜。
ゲーム三昧ッ!」

解放感を味わいながら
リビングで
くつろいでいると

「ほら!
昨日までのテスト
おさらいするぞ!」

セイが長い足で
私のカラダを転がしたッ。

「連日の戦いで疲れた
カラダとアタマを
休めているんだからッ」

「それは目一杯頑張って
結果を出したヤツが言う
セリフだろう」

「人間
ゆとりが大事だからッ」

「本当のゆとりとは
受験する学校の水準より
上の実力をつけるコトだ。

遊んで暮らすコトじゃない」

セイが私の背中を
足でグリグリするモノだから

「マジ疲れてるんだからッ」

クッション片手に
リビングで大乱闘ッ。


「セイ、トーコだって
頑張ってたわよ、ね?」

ママが間に入り
乱闘はレフェリーストップ。

「ふんっだ!
セイのバカッ!」

私は捨てゼリフを残し
自分の部屋でふて寝する。


「テストの結果は
どうであれ

あの子はあの子なりに
足りないアタマで努力して

セイの期待に応えたいと
一生懸命やったんだから」

セイを諭すママの声が
リビングから聞えてきて

ガチャ。

私の部屋のドアが
開く音がした。

「…トーコ?」

セイの声が
私の機嫌を窺っている。

「……」

「おい!
何、シカトしてんだよ!
起きてるんだろう!」

寝たふりしている私の
後頭部をセイが叩くけど

無視無視無視ッ!

「…いい加減にしろよ!」

鼻を摘ままれ
息を止められたって

「…むぐ、むぐぐッ」

絶対に
負けたりするモノかッ。

ここまできたら
寝たふりを通し続けて
みせましょおおおおお!

「……」
「……」
「……」
「……」

「…もしかして
マジに寝ちゃったのか?」

乱暴だったセイの手が
私の髪を
やさしく櫛毛し始めた。

「……」
「……」

…ここで
油断してはいけないッ。

押してダメなら引いてみな。

もしくは
太陽のコート脱がし
戦法かッ。

私が身構えた瞬間。

「悪かったよ」

え?

「お前、本当に最後まで
よく頑張ってたもんな」

あのセイが自分の非を認めて
私に謝っているッ!??

これは何かよからぬコトの
前触れかッ。

「ホント、悪かった」

「……」

「…くっそおおおお!」

ペシっとセイが
私の後頭部をまた殴る。

「やっぱ、無理!」

はい?

「本人を前に練習しても
やっぱ、言えそうにない」

え。

今のは
謝る練習だったのですかッ。

なのに

「いいか!?
俺に謝って貰えないのは
お前が悪いんだからな!」

…セイって
ホンット、素直じゃない。


「俺ばっか
お前のコト心配して

俺ばっか
お前のコト好きなんて

不公平すぎるだろ!」


ホントにホントに

ズルいんだから。





とことんトーコッ☆【278】

≪〜完〜≫



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