【323】
まだ肌寒い春の風。
セイとのひさびさのデート。
買ったばかりの
春物の薄手のワンピース。
半袖のレースカーディガンで
キメてみた。
「おっそ〜い!
何やってたんだよお」
私の用意に
待ちくたびれたセイが
玄関で座り込んでいて。
「…あはは。ごめんね〜」
おニューのワンピ
よく似合うね、って
ちょっと
期待してたんだけど。
「ほら、早くしろ。
映画、始まっちまうぞ」
…そんな雰囲気では
なさそうだ。
外に出ると
本日のセイ並みに冷たい
春の風。
思わず私はその身を縮めた。
私の前を歩いていたセイが
「何やってんだよ!」
振り返り
「え?、寒いだと?」
立ち止まる。
「バカだな!
俺から離れるからだ」
やさしい春の匂いのする
セイの
スプリングコートの中に
私のカラダが納められた。
とことんトーコッ☆【323】
≪〜完〜≫
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