【332】
大阪ウケのいい名前?
大阪の伯母さんから
掛かってきた電話に
「はいッ、もしもし?」
うっかり私が出てしまった。
『マユミさん?
猛虎ちゃん?
どっち?』
「…ママなら買い物に
出掛けていますけど」
『あ、猛虎ちゃんなんや!
ひさびさやねえ。
元気にしてるの?』
「…ええ、まあ」
この伯母さん
私の名前を
某関西のプロ野球チームに
あやかってつけたと
何故だか信じ切っているッ。
『たまにはこっち来て
一緒に野球観ぃへん?
猛虎ちゃんと観た試合は
二戦二勝の負けなしで
ゲンがいいし〜』
「……」
『昔みたいに
トラ柄のパンツも
用意しといたるからな』
「……」
『猛虎ちゃんは
日本一トラのパンツが
似合う子やって
球場でも評判やったし。
ピンクと黄色やったら
どっちがええ?』
「……」
『猛虎ちゃん?』
「……」
『猛虎ちゃん。
ちょっと聴いてる?』
「……」
17年も経った今更
実はトーコでしたとは
とてもじゃないけど
言い出せず…。
「何でママ達は
最初に勘違いされた段階で
キチンと修正を
してくれなかったのかなッ」
「だって。
猛虎ちゃん、猛虎ちゃんって
球場でみんなから
アイドル扱いされて
トーコも
満更でもなさそうだったし」
「……」
「私達が猛虎って呼んでも
トーコってば
本当に嬉しそうに
笑顔で
振り返っていたんですもの」
「……」
「てっきり気に入って
いるのかとばかり…ねえ?」
子どもって本当
難しいわね、と
ママが
おおきく肩を落とした…。
とことんトーコッ☆【332】
≪〜完〜≫
この作品をお読みになった
感想をお寄せください。
下記の感想の中から
ひとつ選び
【いいね!】ボタンを押すと
お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。
絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。