【340】
覚えられない理由。
「ケンちゃんッ。
サークルムーンは
レッドの技じゃなく
ブルーの、だからッ!
レッドの得意技は
ハリケーンアタック!」
「おおう。ミステイクッ」
「違う、違うッ!
その構えは
ローリングバスター!
ハリケーンアタックの
最初の構えは
こうだからッ!」
ケンちゃんの
戦隊ヒーローごっこの
相手をする私を見て
「…お前なあ」
セイが深い溜息をつく。
「戦隊ヒーローなら
何百という必殺武器から
フォームチェンジまで
隈なく記憶できるのに
どうして
20人もいない
平成の総理大臣を
苗字すら覚えられずに
いるんだろうな…」
「……」
セイってば
先週の私のテストの結果を
いつまで
根に持つつもりなのかッ。
「そりゃあ、トーコだって
知らないオジサンより
ハンサムなヒーローのが
覚え甲斐があるわよね?」
「……」
笑えないジョークを飛ばす
ママの横で
「愚問だなッ!
いまどきの総理大臣と違って
戦隊ヒーローは
1年間の任期と
地球を守るという責任を
ちゃんと
全うしているからな!」
「……」
日本の未来を担う幼稚園児が
胸を張った。
とことんトーコッ☆【340】
≪〜完〜≫
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