【343】

発想がひと味違う。

「このドラマ何で
食卓に水ナスなんかが
並んでるんだ?」

季節感無視も
いいトコだな、と

セイが
ドラマの揚げ足を取るッ。


…楽しみにしていた
ドラマなのにッ。


番組制作者の
肩を持つつもりは
ないけれど

「京都らしさを
出したかったんじゃ
ないのかなッ」

「だったら
水ナスを包丁で切って
出すなよな」

なんてッ

もはやこれは
ただのチンピラのインネン
レベルッ。

「意味
わかんないんだけどッ」

抗議する私の横で

「水ナスってね。

包丁で切ると
金属臭くなるから

本当は手で裂かなくちゃ
イケないんだよね」

博学のパパが
セイのインネンを
まさかまさかの正当化ッ!


「もおッ!
少しはドラマの内容に
集中させてくれるかなッ!

このドラマッ奇想天外で
すっごく面白い、って
前評判が高いんだからッ」


「よくある
どこかで見たような
既視感バリバリの

オリジナリティーの
カケラもない
ドラマだけど?」

「そうだね。
有名な小説の名セリフとか
エピソードの
オンパレードだね」


嬉々として
オチを予測し合う
セイとパパに挟まれて

「……」

耐え難きを耐える私に

「あら、ママは
この番組、他とは
ひと味違うと思うけど」

嬉しい援護ッ!


「そうだよねッ、ママッ!
どこか
ひと味違うよねッ!?」

ママならわかってくれると
思ってましたッ!


「手で裂いたら
人間臭いナスに
なっちゃうから、って

そんな細やかなトコロまで
配慮が行き届いているなんて

やっぱり普通じゃナイわよ
このドラマ」


「……」
「……」
「……」





とことんトーコッ☆【343】

≪〜完〜≫



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