【348】
想い出を語る。
ケンちゃんが持ってきた
粘土を見て
「俺達も粘土遊び
屋敷でふたり、やったよな」
セイが遠い目をしながら
昔を懐かしむ。
「覚えてる?
田舎じゃ周りに
同い年くらいの子どもが
いなかったから
トーコが
東京に帰ってしまったら
寂しいだろう、って
俺の話し相手に粘土の人形を
作ってあげるわ、ってさ」
「…そんなコト
あったっけ?」
なんとなく
覚えているような
いないような…。
「ほらッ
ポーズが変だ、とか
顔がおかしい、とか
服が気に入らない、とか
言っては
トーコは何度も
壊しては作ってを
繰り返して…」
想い出を語る
セイのやさしい笑顔。
心温まるエピソードに
私は照れを隠せない。
「最後には
“上手くできないのは
この粘土が
イケないのよッ”って
カンシャク起こして
粘土の塊を俺の前に
ドゴン、と置いてさ」
「……」
「“寂しくなったら
この粘土の塊を
友達だと思って
話し掛ければッ”」
「……」
セイが昔の私を辱める…。
とことんトーコッ☆【348】
≪〜完〜≫
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