【369】

園長を描きました。

幼稚園から帰ってきた
ケンちゃんが

部屋に入るや否や

黙々とクレパスで画用紙を
真っ黒に塗りはじめた。


怖いくらいの気迫と集中力。

「…ケンちゃん
どうしたんだろ」


ケンちゃんが
画用紙を真っ黒に
塗り終えるのを待って

「?…何を描いてるのかな」

そっと声を掛けてみる。


「ウチの幼稚園の園長だッ」

「え?」


…黒いジャージでも
着てたのだろうか。


「ほら、あれ。

昔、広告で
こういうの、あったよね?」


幼児がひたすら
真っ黒に塗り潰していた
画用紙を繋ぎ合わせたら

くじらの絵に
なっていた、ってヤツ。


「ケンちゃんも
園長先生のどこか一部を
描き出しているんじゃ
ないのかなあ?」


1枚描き終えて
満足そうにしていた
ケンちゃんに

私は新しい画用紙を
差し出してみた。


「次の絵をどうぞ」


「……」

ケンちゃんが
真っ白な画用紙の前で

今度は考え込んでいる。


「ケンちゃん。

遠慮せず、さっきの続きを
描いていいのよ?」


「強欲園長の腹の中をか?」


「……」
「……」


…幼稚園で何があった?





とことんトーコッ☆【369】

≪〜完〜≫



この作品をお読みになった
感想をお寄せください。


下記の感想の中から
ひとつ選び

【いいね!】ボタンを押すと

お楽しみスペシャル画像が
ご覧戴けます。


絵柄は予告なく
気まぐれに更新されます。



特に感想はありません。
次の話も期待しています!
今回の話は特にお気に入りです!