【403】
問題を考える。
私が小学校にあがった
ばかりの頃は
「じゃあ、トーコ
次の問題は
ちょっと難しいわよ?」
ママがよく
私の宿題をみてくれていた。
「1個50円のリンゴと
1個30円のミカンを使って
何か問題を
考えてみましょうか?」
「……」
「ちなみに先生は独身で
ご両親と同居していて
相場を知らなくて
当然だから
今どきリンゴは
50円では買えない、とか
そういうツッコミは
ナシでお願いね」
「……」
「ちなみに今の“ナシ”は
リンゴのお仲間の“梨”では
ありませんから」
注釈だらけのママの授業に
「……」
幼い脳は
たくさんの情報を
処理しようと
フル稼働する。
「トーコには
やっぱり難しいかしら?
じゃあ、リンゴはやめて…」
さらなるカオスの予感に
「やっぱり僕が教えるよ」
パパがようやく助け船。
「いいかい?、トーコ。
例えばね。
50円のリンゴを1個と
30円のミカンを2個買うのに
いくらお金を払えば
いいでしょうか?、とか」
「……」
「何か考えつけるかな?」
「……」
「……」
「1個50円の…」
「うんうん!」
「1個50円のりんご1個と
1個30円のみかん1個を」
「そうそう!
いいカンジだよ、トーコ」
「押し潰しながら
パパとママに言いました」
「え」
「“次はアナタ達が
こうなる番です”」
「……」
「……」
「…確かに、それは問題ね」
幼い脳がはじき出した結論に
ママが理解を見せていた。
とことんトーコッ☆【403】
≪〜完〜≫
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