【406】

機嫌がいいワケ。

私の“7点”のテスト結果に
動じることなく

「ラッキーセブンだな」

セイがいつになく
機嫌がいい。


ケンちゃんが持ち込んだ
やっかいなプラモデルも

自らすすんで
作り始めたりして

あのセイが
あり得ないくらい
誰彼かまわず親切だ。


「…なんか死を覚悟した
人間みたいでコワイよね」


「ん〜。
もしかしたら、セイは…」


「ママッ、もしかして
セイがこうなったのに
心当たりがあるの!?」


「選挙に出るつもりじゃ
ないかしら?」


「……」

溜め息をつく私の腰を

「おい、トーコッ」

ケンちゃんが指で
突っついてくるッ。


「今朝のオムライスッ

なんだか
特別なヤツだった
らしいじゃないかッ」


「え」


今朝は時間があったから

お弁当に入れようと
自分で作ってみた
オムライス。


うまくいかなくて
ぐちゃぐちゃに
なっちゃったから

ママに処分を頼んで
学校に行ったんだけど。


それにしたって
“特別”だとか
表現が嫌味だよね〜。


「…ママ

私、今朝のオムライス
処分しておいて、と
頼んでおいたよね?」


「ん?、オムライス?」

冷蔵庫の中を
整理していたママが
振り返る。


「ああ、アレなら
セイが食べてくれたわよ」


はい?


「トーコが恥ずかしがって
処分を頼まれたヤツだから
って

ちゃんとセイには
言ったんだけどね〜」


「……」


「大丈夫よ!

ケチャップを多めに
ハート型に掛けてみたら

案外可愛く仕上がったから」


ママが無邪気に両手で
ハートの形を作って見せた。


「……」

そのハートッ

セイは、絶ッ対
私が書いた、と

思い込んでいますよね?


そしてそれを私が
乙女に恥じらっていた、と

間違いなく
セイは誤解していますよね?


「ママ、余計なコト
しちゃったかしら〜」

「…ううん。いい」


手の中の7点の答案用紙。


今日の私は
確かに運を持っていた。





とことんトーコッ☆【406】

≪〜完〜≫



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