【410】
目覚めたる者ッ。
朝、目が覚めると
手の中に十円玉。
「どうしてこんなモノが…」
ベッド周りで
お金をぶちまけた記憶はナイ。
財布だって
ベッドから一番遠い
カバンの中に入っていて…。
「…私ッ、もしかして
新たな能力に
覚醒したとか…?」
無意識にモノを瞬間移動
それとも
モノを新たに
生み出してしまったのか。
自分は何の変哲もない
ただの女子高生だと信じて
今日まで生きてきたけれど。
ドクンドクンドクンッ。
「どうしようッ」
押さえきれない胸の高鳴り。
「夢じゃないよね?」
ぎゅう。
私は掌の上の十円玉を
握りしめた。
「あら、トーコ
起きてたの?」
私という神に選ばれし子を
産み落とした聖母が
いつもの朝と同じように
私の部屋に入ってくる。
「のんびり油断していると
遅刻しちゃうわよ」
いつもの朝と同じように
聖母がカーテンに
手を掛けると
「カーテンは
まだ開けないでッ」
思わず神経が高ぶった。
「トーコ?」
「……」
「顔色が悪いみたいだけど
やっぱり夢の中で
解決できなかったの?」
何かを察したかのように
聖母が私に近づいてくる。
「まさか、ママ…?」
いつかこの日が来るコトを
知っていたの…?
「トーコってば、昨夜
うなされながら
“十円足りない”って寝言を
繰り返していたモノだから
とりあえず十円
握らせてみたんだけど」
効果はなかったのね、と
聖母が残念そうに
うな垂れていた。
とことんトーコッ☆【410】
≪〜完〜≫
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