【411】
今夜はドネルケバブ。
毎日、毎日続く雨。
低気圧の影響か
なんだか
なんにもやる気がしない。
「母さん、今夜
外で食べてくるから
夕食いらない、ってさ」
ママってばッ
そういう大事なコトを
自宅の電話じゃなく
セイのケータイに
掛けてくるなんてッ
絶対に確信犯ッ。
「自分達の夕食なら
自分達でなんとかするから
母さんはゆっくり
食事を楽しんできて、とか
どうせママにまた
いい顔したんでしょッ!?」
冷蔵庫を開け
ろくな食材が
入っていないコトを
私はセイにアピールした。
「お湯入れて3分待つのと
レンジでチン
どっちがいいッ!?」
テーブルの上
インスタント食品を
これでもか、と
並べてみせると
「…雨、そろそろ
やみそうだな」
かったるそうにしていた
セイが
ベランダの外へと
静かに視線を送る。
「お前、今、何食べたい?」
「え」
「……」
「……」
もしかして
それはッ
外食へのお誘いですかッ。
「ドネルケバブ!
一度食べて
みたかったんだッ」
お天道さまッ
ありがとうございますッ。
「…お前、ドネルケバブって
どんなだか知ってるの?」
「香辛料とかヨーグルトッ
マリネなんかで
下味をつけた肉を
ざっくりスライスしてねッ
積み重ねて〜
串に刺して〜
でっかい肉の塊にして
あぶり焼きッ」
お客さまのお皿の中に
外側の焼き上がった層を
ナイフで薄く
そぎ落としていく
あのパフォーマンスッ
テーブル席で
ぜひとも体験してみたい、と
常々思っていたのですッ。
「…いいけどさ」
「じゃあ、今夜の夕食は
ドネルケバブで決定ねッ」
「しっかり
美味いの作れよな」
とことんトーコッ☆【411】
≪〜完〜≫
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