【416】

閉店時間です。

「はいよ!」

追加注文したコーヒーが
テーブルの上

乱暴に置かれ

「……」

受け皿がコーヒーで
汚される。


閉店が過ぎているのか
喫茶店のマスターの態度が

7時を境に
あきらかに雑になってきた。


「あの、この店
ラストオーダーって
何時ですか?」


「最後の客の注文が
終わったときだよ!」

早々にメニューを
ひきあげようとした
マスターに

「それが最後の客だって
どうしてわかるんですか?」

素朴な疑問ッ。


「7時を過ぎたら
俺が決める」


ラストオーダーは7時だ、と
素直に言えばいいのにね。


セイは
絶対戻ってくるから、と

私をここに残して
店を出て行ったけど

やっぱり
先に家に帰っていようかな。


淹れて貰ったコーヒーを
急いで飲み干そうとして

「うおちちちちッ」

舌を火傷する。


「あ〜あ」

何をやってるんだ、と
苛立ちながらマスターが
私に水を差し出してきた。


「…ここまで
待たされたんだから

最後まで待ってやれば?」


え?


「俺は
オンナを待たせる野郎は
許せないタチだけど

ちゃんと戻って来たオトコを
殴ったりはしないから

安心しな」


「……」


義憤のヒトが選んだ
古いジャズのレコードからは

やさしい音が躍ってる。





とことんトーコッ☆【416】

≪〜完〜≫



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