【417】
トーコはまだか!
「じゃあ、約束通り
駅前のケーキ屋でケーキ
買ってきて貰おうかな」
「……」
狩りのゲームで
見事にセイの足を引っ張り
賭けに負けた私は
ケーキのチョコプレートに
【好き好き大好き
私の愛するセイさまへ
はあと、うふん】
と書いて貰ってくるとゆ〜
羞恥プレイ罰ゲームを
命ぜられるッ。
晴れ渡る青い空。
日曜日の駅前は
いつになく賑やかだ。
ちいさな子を連れた
家族の姿が目立つのは
なにかイベントでも
あるのだろうか?
信号待ちしていた
私のミニスカートを
ツンツンと
何者かに引っ張られ
「!!」
振り返ると
「ママじゃないいいい」
私と目が合った幼女が
火が付いたように
泣き出した!
どうやら
私の後ろ姿をママだと
思い込んで
スカートを引っ張った
ようなのだけど
「もしかして、迷子に
なっちゃったのかな?」
こういう場合
どうすればいいんだろう。
下手に連れ歩いたら
誘拐犯だと
間違われるよね…。
私はポケットの中に
手を入れて
「あ」
そのとき初めて
ケータイを
家に置き忘れてきた事実に
気がつく。
「あちゃ〜…」
ここから見渡せる範囲には
人探しをしている風な女性は
見当たらないし
どうしたらいいだろう。
「放って行くワケにも
いかないし」
泣きじゃくる
幼女のアタマをそっと撫で
「大丈夫ッ
ママはきっと探しにきて
くれるから」
私は
おおきく息を吸い込んだ。
「迷子を保護してま〜す!
この子のママさん
いませんかあ!」
大声で叫ぶ私に
通行人が笑いながら
指をさしていたけれど
その甲斐あって
通行人からの情報を受けた
駅前のホームセンターから
ママさんが
駆けつけてくれたのが
実に30分後ッ。
「その間、ホントに
いろいろあってね〜」
家に戻って
今日、外で遭ったコトを
話そうとした私に
「いろいろあって
よかったな〜!
俺はお前のコトが
気になって気になって
お前の帰りを
ひたすら待つだけ
だったけどな」
ゲームの手を止めるコトなく
セイが口元を尖らせる。
「私のコトだけ
考えられるなんて
セイはしあわせな時間
過ごせたんだね〜?」
はははは、と
作り笑顔で飛ばした
私のジョークを
「まあな」
セイがサラリと肯定した。
「えっと、あの…」
「なんだ?」
「いえ、何でもないです」
私が今
チョコプレートに文字を
オーダーするときよりも
はるかに赤面してるコト
どうぞ、セイには
気づかれませんように…。
とことんトーコッ☆【417】
≪〜完〜≫
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