【424】

見つめてる。

「カタタタタ…」

リビングで快調に
ミシン掛けをしている
私の横顔を

さっきからセイが
少し離れたトコロから
静かに見つめ続けている。

「……」

なんだろう。

「カタタタタ…」

「……」

話し掛けてくるワケでもなく
からかってくる様子も
ないけれど。

「…カタ」

「……」

その視線が
何故だかとっても
気になったから

「ねえ、ねえ。セイは
守護霊っていると思う?」

たわいない話を
セイにふってみた。


「ナンノったらねッ
自分の守護霊は
マリー・アントワネットかも
言うんだよ〜ッ」

部活での笑い話を
したつもりが

「じゃあ訊くけど
守護霊って何なの?」

「え」

「守護霊の定義は?」

まさかまさかの
守護霊の話に
ツッコミが入るとはッ。


「不分明な存在について
相手に問うときには

まず尋ねる側が
その定義をハッキリと
させておくべきだろう?」

「……」

「スピリチュアリズムに
関するコトのみ?

祖霊信仰とか神霊とか
妖怪も入れていいワケ?」


「…いえ。あのですね」

どおおおおおしよう

変な沼にハマっちゃった
みたいだぞ。


「そもそも
マリー・アントワネットって
本人証明は?」

「……」

「出直して来い」

「…ハイ」


私は無言で
ミシンを再作動させる。


「……」

「なあ?」

「何ッ?」


「なんでお前

“カタタタタ”って
言わなくなったの?」


はい?


「さっきミシンに合わせて
“カタタタタ”って
言ってたじゃん?」

「……」

「ちょっと
こう口を尖らせてさ」

「……」


…まさか、それが面白くて
私をずっと
見つめていたとッ!?


私の眉間に
深い深ああいシワが寄った。


「あれ、すんごく
可愛かったのに」

「……」

「……」
「……」

え。


「記憶の中に
永久保存してたのにさ」

「……」


思いもかけぬ
セイの発言に

私は耳まで赤くなる。


「…セイを理解しようなんて
きっと一生かけても
私には無理ッ」


「ふん」

セイが穏やかに笑ってて。


「無理だったかどうか
結論が出るその日まで

お前はずっと
一生、俺の傍にいろ」





とことんトーコッ☆【424】

≪〜完〜≫



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