セイは
キレイなだけじゃなくて
どこか
独特のオーラがあって
どこにいても
ヒトの目を引きつけずには
いられない。
「……」
私は
悪友達の期待に満ちた目に
気づかないフリをした。
「何しにきたのよ」
「近くまできたから」
「……」
「ウソ。
トーコのレオタード姿
無性に見たくなったから」
セイが
ベロ〜ンと舌を出す。
「レオタードなんか着て
練習なんかしないからッ」
「…部活
楽しそうにやってるんで
安心したよ」
…何だかんだ言って
心配してくれてたんだ。
ちょっと嬉しい、かなッ。
「部活、そろそろ
終わるんだろ?
待ってるから
いっしょに帰ろう」
セイの手には
カサが2本。
…雨が降りそうだったから
迎えにきてくれたのかな。
でも。
みんなの目が気になって
「…いいッ。
セイはひとりで
先に帰ってて!」
私はセイを冷たく
突き放して
練習の輪に戻った。
…セイには悪いけど
学校で変なウワサとか
立てられたくはない。
学校のみんなは
セイのコトを
私の弟だって信じている。
「ト、トーコ先輩ッ。
あの素敵な方
ウワサの弟さんですよねッ」
みんなが興味津々で
寄ってきた。
…あんまり
セイって弟の存在を
表沙汰にはしたくない。
弟だと
決めつけられれば
られる程
私は
セイとのカンケイを
後ろめたく思わずには
いられなかった。
なのに。