「トーコ
新体操部のみんなにも
ちゃんと
俺のコト紹介してよ」
なんて
セイってば
馴れ馴れしく
私の傍に寄ってきて。
「はじめまして。
トーコの許婚のセイです」
将来、結婚の約束を
しているんだって
みんなの前で
堂々と宣言をする。
「いいなずけ〜〜〜〜!?」
みんなの驚く声に
私は気を失いそうになった。
…何を言い出すんだ
コイツはああああ!!!
言い出すにしても
モノには
順序があると思うッ!!!
「…セイくんって
弟だよね?」
悪友達が
後輩達を押しのけて
私に迫ってきた。
「書類上はね」
セイはにっこりと
悪友達に笑いかける。
もともとは
許婚だったんだけど
自分の両親が事故死して
天涯孤独に
なっちゃったから
便宜上、一時的に
養子に入ってるだけ、だって
セイは、しら〜っと
いい加減なコトを言っている。
「えッ、でもトーコって
確か1つ年上の彼氏
いたよねッ!?」
…その通りッ。
セイの説明じゃ
誰も納得するワケは
なかった。
なのに。
セイってば
余裕で笑っててッ。
「トーコって
素直じゃないから」
セイは私の両肩を
後ろから掴んでくる。
「許婚だなんて認めないって
反発されてさ。
彼氏なんかつくられて
俺、胸が痛かったよ」
おいおいおいッ!
言うにコトかいて
それはないだろううううッ。
私がすっごい
残酷なオンナみたいに
聴こえるぞおおおおお。
怒りに
固まっている私に
チュッ。
耳元にキスなんかして。
「オノレはああああああ!!」
思わず蹴りを
入れてしまった。