ぷにぷにッ♂004
「セイってさ。
本当に
どこの高校の編入試験も
受けないの?」
「どうして?」
「どうしてって…」
学校も行かず
ママの入院している病院へ
行く以外
ほとんどの時間を
自分の部屋で
過ごしていたセイ。
一生、こんな
”プチ引きこもり”してる気
なのかと
やっぱり心配だった。
「未来の伴侶が
高校中退なんて
カッコ悪い?」
「…セイのアタマなら
その気になれば
どこの学校でも行けるのに」
夕食のお弁当の器を
分別しながら
私はまた溜息をついてしまう。
「目的もなく
適当な高校にいくなんて
時間とお金の
無駄だと思うけど」
セイが私のアタマの上に
食べ終わったお弁当の器を
乗せた。
「もお!
ぷ〜してるんだから
片づけくらい
自分でしなさいよね」
「誰がぷ〜だ」
「学校も行かず
就活もせず
バイトもしないヤツを
世間のヒトはそう呼ぶのッ!」
「セイなら
ちゃんと仕事についてるぞ」
リビングで
読書をしていたパパが
ふたりの会話に
割り入ってきた。
「パパはまた
セイを甘やかしてッ!!」
週に2回くらい
ふらっと外で
バイトしてくるのを
ちゃんと仕事についてる、とは
言わないんだからッ。
「セイから
何も聞いてないのか?」
え?
「アメリカの研究チームと
結局、契約解除できずに
セイは日本で研究を
進めるコトになったんだって」
え…。
「ええええええええッ!?」
私は思わずセイを見た。
「近いうちに
日本にも
アメリカの研究室の分室を
作ってくれる
らしいんだけどね」