ぷにぷにッ♂005


セイが
田舎に持っていっていた
一眼レフカメラが
無事に手元に戻ってきた。


「諦めてたんだけどな」

セイがカメラを手にして
中のデータを確認する。


「何を撮ってたの?」

リビングで
送られてきたカメラを
チェックしていたセイに

私はダイニングテーブルで
ラーメンを食べながら
話しかけた。


「まあ、いろいろと…」

セイは
リビングのテレビに
カメラを繋げて

写真の一覧を
映し出して


「…!?」

その写真の異様さに

思わずラーメンを食べていた
私の手も止まってしまう。


そこには
定点観測みたいに

コスモス畑に
夕陽が落ちていく様子が
収められていたのだけれど。


上にコスモス。
下に空。


「どうしてみんな
逆さまに映ってるの?」


「天橋立だって
自分の股の間から覗く景色を
楽しむだろ?」


は????


…セイの感性は
イマイチわからない。


「逆さの画が欲しいんなら
普通に撮って

逆さに見れば
よかったんじゃないの?」


「…わかってね〜の!」


セイが
おおきく溜息をついた。


こんな写真
現像に出したら

きっと上下逆さまに直されて
袋に入れられてくると思うッ。


セイは
コスモスの写真を一枚ずつ
大写しにしながら


「あの夜のコトを思い出すな」


なんて。


…あの夜のコトって
何なんだッ。

思わせぶりな
セイのセリフに

不覚にも
私は頬を赤らめてしまう。


ずるずるずる〜ッッ。


私はラーメンを
おおきな音を立てて

恥じらいを誤魔化した。